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間脳・下垂体腫瘍

■ 間脳・下垂体とは
間脳とは左右の大脳半球に囲まれ、大脳半球と脳幹部を中継する重要な脳の一部です。脳下垂体と密接な関係を持ちながら、内分泌システムのセンターとして機能しています。内分泌とは、生物の成長と生命の維持に不可欠なホルモンを産生し、血管内に放出することを言い、腫瘍の発生によってホルモンの量が調整できず様々な病気が生じることになります。また、視神経が近くに存在するために、視野が狭くなったり、物が見づらくなったりします。このように非常にデリケートな部位であるため、脳神経外科医、内分泌専門医、婦人科、小児科、眼科のエキスパートの先生方が共同して治療にあたることが重要になってきます。
■ 画像検査
一般的な脳腫瘍の検査と同様、頭部レントゲン撮影やCT、MRI検査を行います。手術のアプローチによっては、鼻の形状、副鼻腔の含気状態や隔壁の位置、トルコ鞍の大きさや形状を術前に把握しておく必要があります。さらに、病変部位をより細かくスキャンして、下垂体の小病変の描出や石灰化の有無、正常脳組織と重要な動脈や視神経、海綿静脈洞との関係を把握し、手術の確実性を高めます。
■ ホルモン検査(採血、採尿検査)
間脳下垂体系のホルモン検査には、基礎値の測定、分泌刺激試験、分泌抑制試験があり、特定のホルモンを分泌する下垂体腺腫の判別やホルモン分泌予備能を調べる検査があります。これらは、手術前はもちろんのこと手術後でも同様の検査を行い、不足しているホルモンを内服薬で補充したり、点鼻薬で尿量を調整する場合があり、経過を注意深くフォローしていく必要があります。

間脳下垂体腫瘍には、
下垂体腺腫、ラトケ嚢胞、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫、星細胞腫(グリオーマ)、髄膜腫などの腫瘍が含まれます。

1.下垂体腺腫

下垂体腺腫は通常、下垂体前葉から発生する良性腫瘍で、ホルモンを過剰に分泌するホルモン産生下垂体腺腫とホルモン基礎値が正常な非機能性下垂体腺腫の2種類に分けられます。

a. 非機能性下垂体腺腫

特定のホルモンを過剰分泌しないタイプの腫瘍で、視野障害や頭痛を主訴に患者さんが来院されます。通常、腫瘍がかなり大きくなってから発見されることが多く、下垂体腺腫の25~30%を占めると言われます。手術による治療が第一選択となり、鼻の穴から手術を行う「経鼻的経蝶形骨洞手術」と呼ばれるもので、手術顕微鏡及び内視鏡を使って腫瘍を摘出します。腫瘍の大きさや進展状況により、開頭手術を組み合わせる事もあります。また、稀に腫瘍内に出血(下垂体卒中と呼ばれる)を起こし、激しい頭痛や急激な視力視野障害をきたし、緊急手術となることもあり、注意が必要です。

経鼻的経蝶形骨洞手術
  • 左側面から見たイメージ図。通常、左の鼻の穴から矢印の方向にアプローチして、下垂体(青丸内)に到達。
  • 上方から見たイメージ図。左の鼻腔内から入り、鼻中隔粘膜を切開し、蝶形骨を経て、下垂体に到達。
  • 正面図。下垂体の両側には海綿静脈洞や内頚動脈が、上方には視神経が存在。
  • 腫瘍を摘出しているところ。

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2.ラトケ嚢胞

ラトケ嚢胞は、脳ドックの普及に伴い正常下垂体でも10~20%前後に見つかることがあります。無症状の場合はそのまま経過観察することが多いのですが、頭痛、視力視野障害、下垂体機能障害などの症状がある場合は、経鼻的手術でこの嚢胞を開放することで速やかに症状が改善します。

■症例写真 ラトケ嚢胞(赤丸内)と上方に圧迫されて薄くなった視神経(矢印)を認める。

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3.頭蓋咽頭腫

通常、子供に発生することが多いのですが、大人でも珍しくありません。症状は、水頭症をきたして頭痛を訴えたり、視野狭窄をきたして病院を受診される患者さんが多くいらっしゃいます。特徴的なのはホルモンの異常から起こる身体発育不全です。つまり身長の伸びが悪く、色白であご髭や腋毛、恥毛などが薄くなったり、基礎代謝が落ちて体温低下や血圧低下、さらに活発さが無くなり寝ている時間が長くなります。これも良性の腫瘍の一つですが、手術は最も難しい部類に入ります。腫瘍が正常脳と癒着しており、全摘出が難しいのと、手術後にホルモン機能低下や尿崩症、電解質異常などの合併症が出やすいからです。初回手術での結果が予後に一番影響するため、腫瘍の大きさ、場所及び進展の状況を十分に検討して適切な手術方法が選択されます。また、一つのアプローチのみならず、いくつかのアプローチを組み合わせたり、術野の展開を工夫しながら、合併症を出さない様に摘出を目指しています。しかしながら腫瘍組織が重要な脳組織や視神経、太い血管などに癒着している場合は、重篤な合併症を避けるために無理をせずに敢えて一部を残すことがあります。その場合は、ガンマナイフなどの放射線治療を行います。

■手術イメージ図

左:頭蓋咽頭腫に対する様々なアプローチ法
右:視神経、下垂体柄、視床下部、内頚動脈穿通枝などに癒着している腫瘍組織

■症例写真 症例:頭痛と生理不順を主訴に来院された33才の女性。
右の前頭側頭開頭にて全摘出を行った。手術後、一過性に尿崩症が出現したが、すぐに改善し、合併症無く退院。ホルモン補充療法は必要としていない。

手術前

手術後

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